アジサイの観賞




9,葉の形状

〜通常葉〜
   
左から山アジサイの七段花、エゾアジサイの誰ヶ袖、ガクアジサイの八丈千鳥、西洋アジサイの貴船のそれぞれの葉を拡大した写真である。葉の色は日照条件や栄養状態で多少の濃淡はあるが、どれも基本は緑色である。上の写真では山アジサイをはじめ代表的なアジサイの葉を並べたため、葉の幅の広さや光沢の有無などがそれぞれ違うが、全て通常見られる葉である。


〜柏葉〜

上は柏葉アジサイのアメジストの葉を拡大した写真である。その名の通り柏葉アジサイの葉は柏の葉のような形をしていて、これが標準の形となる。表面は山アジサイ以上にざらつきがある。


〜鋸歯の大きな葉〜
   
上はガクアジサイの渥美絞りの葉を拡大した写真である。葉の外縁に大きな鋸葉があり、一部のガクアジサイ系の品種に見られるものである。通常の葉と比較すると全く違う印象の葉である。


〜特殊な形状の葉〜
   
上はアメリカアジサイのグリーンドラゴンの歯を拡大した写真である。この形の葉はこの品種独特のもので、鋸歯が大きく、形が非常に不規則である。その形はまさにドラゴンのようにも見える。非常に面白く珍しい形でもある。


10,魅せる葉

〜散り斑〜
   
左から山アジサイの弥彦、芹生時雨、浮雲のそれぞれの葉を拡大した写真である。これらの葉に見られる斑は散り斑と言われるもので、白色や黄色の斑が葉の表面に斑点状に散りばめられたように入る模様の斑のことである。掃け込み斑よりも地味なものが多いが、掃け込み斑より安定してる品種が多く、全体にまんべんなく緑色の部分があるため、葉焼けなどの心配が少なく栽培しやすいものが多い。上の3枚の写真は全て白散り斑である。
(散り斑の入る代表種:斑入り甘茶、九重山、伊予錦、伊予の華など)

〜掃け込み斑〜
  
左から山アジサイの七段花錦、妙高、ガクアジサイのレモンウェーブのそれぞれの葉を拡大した写真である。掃け込み斑は散り斑とは違い、筆で塗りつぶしたような大胆かつしっかりとした模様が入る。斑の部分の色は散り斑同様、白色や黄色になる。このタイプの斑は見応えのあるものが多く、観賞価値にも優れるが、斑の入らない枝が出てくることもあり、それらの枝を切り落とさないと、その枝の方が勢力が強いため斑のない株になってしまう。斑の面積が増えれば増えるほど観賞価値は上がるが、その代わり葉焼けのリスクも高まる。
(掃け込み斑の入る代表種:紅錦、七段花錦、深山八重紫錦、妙高など)


〜砂子斑〜
 
左から山アジサイの白砂子長葉、ガクアジサイの初霜の葉をそれぞれ拡大した写真である。砂子斑は散り斑にも似るが、散り斑よりもさらに細かい点状の模様が入る。例えるなら散り斑はフレーク状の粒をまぶした感じで、掃け込み斑が筆で塗ったような模様であるならばあるならば、この砂子斑は霧吹きでスプレーしたような感じの模様である。、また、大胆な掃け込み斑に対してこちらは繊細な雰囲気のある斑である。葉全体に入った砂子斑は非常にきれいだが、この形態の斑が入る品種はそれほど多くはない。
(砂子斑の入る代表種:白砂子長葉、初霜など)


〜覆輪斑〜
 
上はガクアジサイの恋路ヶ浜の葉を拡大した写真である。覆輪とは「ガクのコントラスト」に記載したとおり、葉やガクの外縁に入る縁取りのことで、葉に入るものを覆輪葉という。写真の恋路ヶ浜は葉の白掃け込み斑が葉の周囲を取り囲むように入っている。一部通常の掃け込み斑のように不規則な模様になることもあるが、とにかく外縁に入ることが多いものはこの覆輪葉となる。
(覆輪斑の入る代表種:恋路ヶ浜)


〜曙斑〜
 
上の写真は山アジサイの黄冠の葉を拡大した写真である。一番上の葉が黄色から先端に向かって緑色にグラデーションになっている。このように境目がグラデーションになっていてはっきりしない斑を曙斑という。アジサイではあまり見られない珍しい斑である。
(曙斑の入る代表種:黄冠)


〜黄金葉〜
   
左から山アジサイの黄金葉山、黄金駿河、土佐茜、ガクアジサイの黄金葉のそれぞれの葉を拡大した写真である。黄金葉になる品種の特徴は、春先の新しい葉が非常に明るい黄色になることである。その後次第に黄緑色になり、最後は他の品種とあまり変わらなくなってしまうが、アジサイの花にはここまで黄色になる花がないため、黄金葉の品種は数あるアジサイの中でも特にコントラストが豊かな品種である。
(掃け込み斑の入る代表種:紅錦、七段花錦、深山八重紫錦、妙高など)


〜銅葉〜
 
上は西洋アジサイのマービンサンギーネの葉を拡大した写真である。黄色の黄金葉に対してこのような赤みのある葉を銅葉と言う。烏葉とあまり変わらないが、烏葉ほど黒味はない。
(銅葉になる代表種:マービンサンギーネ、カラーファンタジー)


〜烏葉〜
 
左から山アジサイの清澄沢、西洋アジサイの未来のそれぞれの葉を拡大した写真である。烏葉とはその名の通り黒みの強い葉のことである。清澄沢の芽吹いたばかりの葉でよく見られ、そのため清澄沢を元にして作られた西洋アジサイなどでも春先に黒ずんだ葉が見られることがある。
(烏葉になる代表種:清澄沢、青覆輪清澄沢、未来、サブリナなど)


〜ビロード葉〜
 
上は山アジサイの伊予小町の葉を拡大した写真である。表面にうぶ毛がびっしりと生えまさにビロード生地のような風合いになる。一部の山アジサイに見られる葉である。
(ビロード葉になる代表種:伊予小町、小町錦など)


〜真っ白な葉になる紅冠雪〜
 
上の写真は山アジサイの紅冠雪の葉を拡大した写真である。この紅冠雪は春先は全ての葉が緑色をしているが、花期を過ぎた頃から、その年花花をつけなかった枝の一番上の葉がだんだん白色に変化していく。
   
上の4枚の写真は、その紅冠雪の葉の変化を順を追って並べたものである。このような変化をする品種は他にない。